母親が難病「ALS」と診断された。謙太郎さんの生活は一変し、介護や家事に追われる日々。進行する病を目の当たりにし、母親の苦しみを受け止められず、いらだちを露わにする時も。支援が求められる中、家族にとって大切なものは何かを問いかける。
お母さんが、難病になった。
――お母さんは好きですか?
謙太郎さん
「好きです。大好きです」
これまで2人で生きてきた。受け止める強さは、まだ、僕にはなくて…。
謙太郎さん
「いま言わんといてくれ、イライラが止まらん。無理」
「なんもできないですよ。俺が…」
佐藤謙太郎さん(19歳)母親の介護を続けながらプログラミングなどを学んでいます。
母親の仁美さんが闘っているのは「ALS(筋萎縮性側索硬化症)」。全身の筋肉が衰えていき、歩くことも、食べることも、呼吸をすることもできなくなっていく、原因不明の難病です。
仁美さん
「あ、見て、あれ。栗の木じゃない?違うか」
謙太郎さん
「わかるか」
13年前に離婚した仁美さん。ペットショップで働きながら、1人で謙太郎さんを育ててきました。
仁美さん
「何も言わなくてもやってくれる息子にさ、何でも頼んじゃうんだよね。ついついね」
次第に、動かなくなる体。薬は1日4回。お湯に溶かして、胃に直接流し込みます。
仁美さん
「溶けた?」
謙太郎さん
「今、かなり不自由だと思うので、好きなことをさせてあげたいっていう感じです」
――お母さんは好きですか?
謙太郎さん
「好きです。大好きです」
仁美さんの喉に、異変があらわれはじめていました。
仁美さん
「ギャッジアップ」
謙太郎さん
「その言葉、知らない」
病状が進行し、生きていくためには必要な「人工呼吸器」をつけるという選択。
仁美さん
「痰の吸引が始まるんだけど、20~30分に1回。それくらい忙しいんだよね。そういう時に謙太郎がいなければいけないの。いやだろうなって…」
重くなる負担を、受け入れられるのも、拒まれるのも、怖くて仕方がありませんでした。呼吸器をつけるということは、もう一緒に話すことができなくなるということ。
仁美さん
「聞いてんの」
謙太郎さん
「何をお願いしてるの?」
仁美さん
「そっちまで連れっていってよ。なんで無視してんの」
謙太郎さん
「何が無視だよ。何も言われてないのに無視もクソもないだろ!」
仁美さん
「ぶつかる。危ないなぁ」
「ママさ、やっぱり呼吸器つける。決めた。聞いてる?」
謙太郎さん
「いま言わんといてくれ。イライラが止まらん。無理」
このころから謙太郎さんは、いつも開けていた部屋の扉を閉ざすようになりました。仁美さんは、音声読み上げソフトを使うようになっていました。「死にたいつて本気で思ったけど、これがいまの、私の…生き様」
仁美さん
「女の私を存分に見てもらいたい。ママはまだまだキレイなんだよって」
2年前にはこんなに出せていた声も…。いまは、ほとんど出せなくなりました。病気の進行に合わせて、ヘルパーなどの訪問支援が24時間体制で入るようになりました。
仁美さん
「飲めない」
いままでできていたことが、ひとつずつ消えていく生活。心細くて、涙があふれ出しました。自分に何ができるのか…。受け止める強さは…まだ僕には、なくて。
――お母さんはいまでも好き?
謙太郎さん
「好きなんじゃないですか。嫌いな人も、なかなかいないと思いますけど」
――してあげたいこととかない?
謙太郎さん
「何ですかしてあげたいことって。何もできないですよ、俺が。どこか連れて行ってあげても、僕、車を運転できませんし」
動きにくくなった右手で、直接、お年玉を渡しました。
仁美さん
「1万円…。なかったの…」
謙太郎さん
「もっとよこせなんて言わねえよ」
恥ずかしそうに笑った顔は、いつもより子どもっぽく見えました。ありがとう、お母さん…ごめんね。
制作:札幌テレビ
※この動画は2023年1月22日に「NNNドキュメント」で放送されたものを再編集したものです。
【NNNドキュメント‘23】
毎週日曜日深夜24時55分~ 日本テレビ系列全国放送
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